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美しき天然
武島羽衣 作詞
田中穂積 作曲
歌: 謡子
1
空(そら)にさえずる 鳥(とり)の声(こえ),
峯(みね)より落(お)つる 滝(たき)の音(おと),
大波(おおなみ)小波(こなみ) 鞺鞳(とうとう)と
響(ひび)き絶(た)えせぬ 海(うみ)の音(おと),
聞(き)けや人々(ひとびと) 面白(おもしろ)き
此(こ)の天然(てんねん)の 音楽(おんがく)を。
調(しら)べ自在(じざい)に 弾(ひ)き給(たも)う
神(かみ)の御手(おんて)の 尊(とうと)しや。
2
春(はる)は桜(さくら)の あや衣(ごろも),
秋(あき)は紅葉(もみじ)の 唐錦(からにしき),
夏(なつ)は涼(すず)しき 月(つき)の絹(きぬ),
冬(ふゆ)は真白(ましろ)き 雪(ゆき)の布(ぬの)。
見(み)よや人々(ひとびと) 美(うつく)しき
この天然(てんねん)の 織物(おりもの)を。
手際(てぎわ)見事(みごと)に 織(お)り給(たも)う
神(かみ)のたくみの 尊(とうと)しや。
3
うす墨(ずみ)ひける 四方(よも)の山(やま),
くれない匂(にお)う 横(よこ)がすみ,
海辺(うみべ)はるかに うち続(つづ)く
青松(せいしょう)白砂(はくしゃ)の 美(うつく)しき。
見(み)よや人々(ひとびと) たぐいなき
此(こ)の天然(てんねん)の うつしえを。
筆(ふで)も及(およ)ばず かき給(たも)う
神(かみ)の力(ちから)の 尊(とうと)しや。
4
朝(あした)に起(おこ)る 雲(くも)の殿(との),
夕(ゆう)べにかかる 虹(にじ)の橋(はし),
晴(は)れたる空(そら)を 見渡(みわた)せば
青天井(あおてんじょう)に 似(に)たるかな。
仰(あお)げ人々(ひとびと) 珍(めず)らしき
此(こ)の天然(てんねん)の 建築(けんちく)を。
かく広大(こうだい)に たて給(たも)う
神(かみ)の御業(みわざ)の 尊(とうと)しや。