何(いず)れ菖蒲(あやめ)

 どれも優れていて選択に困ることを表わします。

 源頼政がヌエ退治の賞として菖蒲前(あやめのまえ)という美女を賜るとき,十二人の美女の中から菖蒲前を見つけ出すように言われた。このとき源頼政は菖蒲前に会ったことがなかったので困ってしまい,
    五月雨に 沢べのまこも 水こえて
     いづれあやめと 引きぞわづらう
と詠んだという話から生まれた言葉です。
 歌の意味はおよそ以下の通りです。
 五月雨で(水かさが増すと)沢岸のマコモが水に漬かってしまう,
 そうするとどれがアヤメかわからなくなり,
 どれを引けばよいのか困ってしまう

  「何れ菖蒲か杜若(かきつばた)」
  「菖蒲と杜若」
  なども同義です。