「風の神」とは風を司る神のことで,大風が吹くのは「風の神」の仕業とされていました。そのため大風が吹かないようにするには,風の神を封じなければならないと考えました。
中部地方の山村では,二百十日前になると,屋根の上に棒を高く立ててそれに大きな袋を取り付ける風習があり,これは風の神を袋で封じ込めるためだったようです。
また別の地方では,屋根の両端に鎌を二本取り付ける風習があり,この鎌を「風切り鎌」といい,この鎌で風の神を切ってしまおうと考えました。この風切り鎌は,今でも法隆寺の五重塔の相輪に付けられています。
農村地帯でも,作物を風害から守るために様々な祈祷や行事が行われてきました。
東北地方では男女二体の人形を作り,それを村境で焼き捨てると言う風習があり,これは風の神を人形に移して焼くことにより,風の神を退散あるいは消滅させようと考えて行ったようです。