風(かぜ)が吹(ふ)いたによって箱屋(はこや)

 まわりくどい計画の例えです。

 「世間学者気質」の中に,
「今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば,世間にめくらが大分できる。そこで三味線がよふうれる。そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって,おのづから箱の類をかぢりおる。爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても,是も元手がなふては埒明かず」
 とあり,後に「箱屋」が「桶屋」に転じたと云われています。