「庚申」は十干と十二支を組み合わせてできる60通りの干支の中の一つで「庚(かのえ)」と「申(さる)」を組み合わせたものです。これで年を数えると,「庚申」は60年に一度の年になり,日を数えると,「庚申」は60日に一度巡ってきます。
中国の道教の考え方では,人の中に三尸(さんし)という三匹の虫がいて,庚申の日になると,寝ている人の体内から出て天にのぼり,その人の罪を天帝に報告すると云われています。そのため,庚申の日は三尸が報告に行かないように,眠らずに過ごすという風習がありました。これを「守り庚申」といい,平安貴族の間で行われていました。
その後,室町時代になると民間にも「庚申講」という信仰集団ができて,庚申の日に夜を徹して語り明かしたり,庚申の年に庚申供養塔を建てたりしました。
上記のような流れで始まった行事なので,「庚申さま」と言っても特定の神様がいるわけはないのですが,庚申の「申」から猿を神使とする「山王神社」が信仰の対象となったり,猿田彦神が信仰の対象となったりしました。