節分は元来,「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことを意味しましたが,いつの頃からか「立春」の前日だけをいうようになりました。「立春」という一年の始まりの日の前なので,一年間の諸々の厄を払い,新しい年を無病息災で過ごしたいという願いが込められた日でもあります。(旧暦の大晦日と節分は異なるものですが,同じような時期にあるので,混同した行事も見られます。)
この日の夕暮れになると,柊の枝に鰯の頭をさしたものを戸口にたてますが,これを「目突き柴」といって家に入ってこようとする鬼の目を突くためのものとする説や,鬼は臭気に弱く,柊や鰯は燃やすと悪臭がするので,これを嫌って家に入れなくするものとする説があります。
ほかにも「豆まき」の行事があります。煎った大豆を一升枡に入れて神棚に上げておき,夕方になると家中の戸口を開け放ち,「鬼は外,福は内」と言いながら豆をまきます。この豆をまく習慣は南北朝時代から始まったとされています。豆のことは「福豆」といって年の数だけ食べるという風習があります。
正月には年神様がやってきますが,その年神様が来る時に精霊たちも一緒についてくるとされ,精霊たちの供え物として豆を提供したのが,豆まきに変化したとする説もあります。