精(せい)を得(え)て麤(ろく)を忘(わす)る

 「麤」とは概略,あらましのことです。
 物事の神髄を理解して外形などにとらわれないという意味です。

 馬の鑑定の名人である伯楽が,秦王に自分の弟子の九方皐を推薦した。王の求めに応じて皐は良馬を捜してきたが,王には,「牝の黄馬です。」と報告した。王が馬を見ると牝の黒馬だったので,伯楽にこのことを告げた。すると伯楽は,「あの男は精を得て麤を忘れるほど,馬の鑑定に熟達しているので,彼にみえるのは良馬であるかないかだけであります。」と答えた。その言葉通り皐のつれ帰った馬は天下の名馬であったという故事から生まれた言葉です。