ヒダル神

 「ヒダル神」は,昔,旅の途中などに餓死した人の霊がその場にとどまり,通る人に危害を加えているとされているものです。
 具体的にどのような症状があるかというと,急に空腹を覚え,足腰が立たなくなり,冷や汗が出て悪寒を感じたりします。そして腰を下ろすとそのまま寝込んでしまうこともあるようです。
 人々はこれを,悪霊が憑いたからだと考え,その悪霊のことを「ヒダル神」 「ダル神」 「ダリ神」などと呼び,悪霊に憑かれることを,「ダリに憑かれる」と言っていました。
 この「ダリが憑く」場所は決まっており,行き倒れになった旅人を地元の人が埋葬して建てた墓石のある所などで,起きていて,今でのその墓石を「ダリボトケ」と呼ばれているそうです。

 ダリが憑いたときの対処法は昔から知られており,
   木の葉でも何でもいいので,口に入れる。
   掌に「米」という字を書いて,水で飲むまねをする。
   飯を一口,口に入れて吐き出し,二口目に飯を呑み込む。
 などがあるそうです。