毋望(むぼう)の人(ひと)

 「毋」は「無」と同様で否定の意味を表わし,「毋望」は望まない,思いがけないことの意味です。
 急難のとき,頼まなくてもこちらの意を察して救いに来てくれる人のことをさします。

 中国の春秋時代,楚の考烈王に仕えた宰相春申君に対し,朱英が「やがて李園があなたの命を狙うはずだから,私を郎中に任ずれば『毋望の人』として李園を殺して,災いを福に転じてさしあげます。」と進言したが,春申君はそれを断わった。しかしその後,春申君は李園に殺されてしまったという故事から生まれた言葉です。